性同一性障害における
   職業的・社会的利得

「診断と治療のガイドライン」第1版が提出された当初、「職業的利得を得るために反対の性別を求めるものではないこと」という一文が問題となった。いわゆる「ニューハーフ」や「オナベ」といった職業に就いている者の一部には、性自認と身体の不一致に苦しんでもいる者もいるからである。彼らは「自分たちの状態は職業的利得を求めてのものと解釈され、性同一性障害としてのケアの対象にはならないのか」とこの文言に疑問を投げかけた。

ガイドラインの策定において「職業的・社会的利得」と考えられたのは、日本でいうところのニューハーフやオナベではなく、他者による強制的な性転換であった。比較的貧困で、売春以外観光の呼び物が極端に少ない地域で、そういったことは発生してきた。売春は、男性型の身体より、女性型の身体の方が単価が高く、需要もあることから、若年の間に去勢をし、十代後半になると性転換手術を受けさせ、売春をさせるという行為が多く見られ、それを防ぐための文言だった。

「職業的・社会的利得」という文言がニューハーフやオナベの職に就く人々を性同一性障害診療の場から排除するかのように解釈されるのを防ぐため、ガイドライン第2版では「なお、このことは特定の職業を排除する意図をもつものではない」と明記された。

『ウィキペディア(Wikipedia)』参照